<ノート> パイプライン終着地の行方 - 去年12月から今年にかけての報道 |
シベリア-太平洋(石油)パイプライン計画や野性動物生息地(特に絶滅の危惧されるアムールヒョウ生息地)への影響に関心をもっていらっしゃる方々、こんにちは。野口 (国際環境NGO FoE Japan スタッフ) です。 前回の投稿(2006年11月30日投稿)で、トランスネフチ社がシベリア-太平洋(石油)パイプライン建設のFS(フィジビリティー)を2007年3月に完了させる予定らしい、このFSではパイプラインターミナルの建設地はコズミノ湾になっているらしい、とお伝えしました。 その後のいろいろな報道を見ていると、状況は今もその方向で動いているように見えます。 (いま、12月~今月の報道を並べて、眺めています) 細かい話に入る前に、それらの報道からうかがい知ることの出来る、最も重要と思える点を挙げてみますね。 1) (まず、最も大切なことですが)とにかく、今日の時点(2007年2月19日時点)では、アムールヒョウの生息地(ロシア沿海地方南西部のケドロヴァヤ-パジ自然保護区やその周辺)では、このパイプライン計画に関連した建設工事などは行われていないようです。いまこの瞬間も、アムールヒョウは野生で生きているでしょう。 2) ここ2ヶ月ほどの報道を見ていると、シベリア-太平洋(石油)パイプラインの太平洋岸ターミナルの建設が「2007年7月にコズミノ湾で開始される」という見出しのものが見受けられます。 3) では、上記(2)の報道の根拠となっているのは何か?それは、やはりトランスネフチ社(このパイプライン計画の実施を受け持つロシアの国営パイプライン会社)が作成したFS(石油積み出しターミナルの建設に関するフィジビリティースタディー)の存在であり、そのFSにおいて石油輸出ターミナルの建設予定地が「コズミノ湾」となっていることのようです。 ただし、これ(FS)は、パイプライン会社の作成した「計画案」というべきものであって、最終決定された案ではないようです。 FSは、「ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostekhnadzor)」 という政府機関の審査を受けて、合格したり修正を加えられたりして初めて「最終決定案・実施計画」と呼べるものとなり、それからやっと、現場での建設作業(パイプライン資材を現地に運び込んだり、各種の土木建設作業を行ったり)の着手が許可されるようです。 4) さて、1月5日のモスクワ発の報道記事によれば、その「ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostekhnadzor)」の長官(コンスタンチン・プリコフスキー長官)が、同庁にそのFSの環境アセスメント(ロシアの「国家環境アセスメント」と呼ばれる環境影響評価)に取り掛かること、そして2ヶ月以内に評価を終えることを命じた、との報道があります。 では、トランスネフチ社の作ったFSを評価するこの仕事を行うのは誰か? 報道記事によると、この評価作業を任されるのは、一部の独立した(=政府から独立した?)エコロジー専門家・エキスパートと、ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁所属のスペシャリストから成る複数の人々だそうです。 2ヶ月以内に評価を終えるということは、早ければ今月末ごろ、遅くても3月中には評価の結果が出る(発表される)ということです。 たとえばもし、その評価結果が「この計画でコズミノ湾に石油輸出ターミナルを建設して良し(環境の面で問題なし)」という結果であったとしたら、7月頃からコズミノ湾で石油ターミナルの建設が始まるだろう、というのが最近の報道です。 しかし、ロシアでは何が起こるか分かりません(^-^;)。何が起きても驚かないくらいの気持ちでいて、丁度良いくらいです。さて、どうなることやら。 5) ちなみに、1月16日のウラジオストクの地元紙の記事によれば、この石油輸出ターミナルの地元となるロシア沿海地方の行政府(沿海地方行政府)が、上記のFSの内容について、トランスネフチ社にコメント(remark)を送ったそうです。そのコメントというのはターミナルの建設場所に関するものだったらしく、内容は、「気象条件などを考慮すると、コズミノ湾は石油ターミナル建設地として最良の場所であるとは言えないというのが(我々)沿海地方行政府の見解である」というような感じだったらしいです。 さて、トランスネフチ社にこのコメントを受け入れる義務があるかといえば、そういう義務はない、ということになるようです。 以上、またふた月ほどご無沙汰してしまいました。すみません。 次にここへ投稿するのはいつになるか。(新しい投稿が無いか、毎日このブログをチェックして下さっている方、空振りの日が多くてすみません) いまこの瞬間、ケドロヴァヤ-パジ自然保護区の何処かでアムールヒョウ達は生きているでしょう。雪の中で、ノロジカを狙っているかもしれません。 いまこの瞬間、石油ターミナル建設計画案(トランスネフチ社が作成したフィジビリティースタディー)のコピーを 「ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁」のスペシャリストや、中立的な立場(であってほしい)のロシア人専門家が手にとって精読中かもしれません。 3月中に、何か次のニュースが入ってくるでしょう、シベリア-太平洋(石油)パイプラインの太平洋岸ターミナルが何処に建造されるかについて。 ひきつづき、豹の眼で追ってみましょう。 野口 栄一郎/EIICHIRO NOGUCHI (FoE Japan) |
by H-Gang
| 2007-02-20 20:06
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